もーすてぃ

20代女、音大ピアノ科大学院卒の1分間スピーチ

日記:大人からでもショパンエチュードが弾けるようになりますか?

音大での話を書きます。

 

今日、レッスン室のある通りを歩いていたら、

附属高校生がピアノのレッスンを受けている様子が小窓から見えました。

 

というより、聴こえました。

 

 

バリバリバリ!!!という表現がまさに相応しいような

ショパンエチュードop10-1が…

 

 

そして、その隣のレッスン室からは

これまたバリバリバリバリのショパン木枯しが…

 

 

ミスタッチすら無いような完璧に近いテクニックで、

物凄い迫力で、

下越しなのになんだか圧倒されて立ち止まって聴き入ってしまいました。

 

 

私はピアノを専攻しており、音大大学院をもうすぐ卒業する身ですが、

全くもってこのような超絶技巧を身につけているタイプではありません。

 

ハノン、ツェルニーなどの練習曲はたくさんやってきましたが、

技術を身につけるための地道な部分練習をぜんぜん真面目にできず、

また私自身も器用で敏捷なタイプではなく…

 

いつしか、超絶技巧系の曲を選ぶのをパタリと辞めました。

ショパンエチュードのうち、エオリアンハープのような簡単目な曲をいくつか取り組んだ程度。

正直、音大生がごく普通に選ぶような曲にさえテクニック的に苦戦しています。

ショパンのバラードの後半に出てくる「和音が含まれてるアルペジオ」がめちゃくちゃ苦手で、ミスタッチなしできちんと弾けないです。

 

 

それで「簡単には音楽表現できないようなしっとり系の曲」ばかりを選んで弾いてきました。

ブラームスの小品のような曲がメインですね。

 

 

私は音楽表現の方を極めるんだ!とか勝手に驕り高ぶってましたが、

酸っぱい葡萄でした。

技巧的な曲が苦手だったから逃げていただけだと思います。

 

 

私はショパンエチュードのop10-1は、二年前にチャレンジしようとして、

あ、これ無理だとなって挫折しています。

 

それなのに、高校生がその曲をミスタッチもなく完璧に弾いているのを見て、

正直「自分の音大生活ってなんだったんだろう」と考えてしまいます。

 

 

 

でも聴こえてきたop.10-1と木枯らしは圧巻でした。格好良かった。

感銘を受けたので、音大を卒業して、まずピアノにおいての目標にしたいことは

「演奏技術を補強すること」に決めました。

 

逃げていた難しい曲にチャレンジしてみようと。

 

 

 

そこで、久しぶりにショパンエチュードop.10-1を練習していたのですが、

この曲、弾いていて気持ちが良いのです。

 

ハ長調の明快な響きのアルペジオと、左手のオクターブ…

大音量を出して響かせると、推進力とエネルギッシュな響きが部屋中に広がっていって

どんどん「ノッて」来るのを感じます。

 

ですがこの曲、腕が疲れすぎて最後まで弾けないんですよね、そもそも。

今までずっと、「レッスンが近いのに腕が疲れるせいで最後まで弾くことすらできない」という状況が最大の恐怖でした。

 

 

しかし、私はもう大学を(多分)卒業するので、

ここしばらく練習曲のようなテクニック的に難しい曲をレッスンで見てもらう機会はないと思います。

 

そう考えると、ものすごく気楽です。

「いつまでに仕上げなきゃならない」というプレッシャーが無いから。

 

純粋に、自分のために曲を選んで弾くことができるのです。

「腕が疲れて最後まで弾けない」という状況すら楽しめるような気がしてきました。「今日はどこまでちゃんと弾けるかな?」って。

 

 

大人になってからテクニックを身につけることは難しい、20歳までにテクニックを身につけるべきだ、

という話はピアノ界でたまに聞かれますが、

 

私のように、大人になってからでもショパンエチュードをテクニック的にちゃんと弾けるようになりたいです。

 

最近音楽教室でたまに教えている大人の生徒さんと全く同じことを言っている。

大人になってから何かを始めることは、決して遅く無いはずです…。

 

 

いり伊